特集:ライトノベル進化論

http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/manga/tokusyu/news/20050829org018200999000c.html

富士見ファンタジア文庫の創刊も、スニーカー文庫と同年である。ただし注意したいのは、文庫に先立ち雑誌「ドラゴンマガジン」を創刊したことだ。初期のレーベルを支えた作品は、この雑誌から生まれた。また、文庫で本編、雑誌で番外編というスタイルを作ったのも、このレーベルが最初である。レーベル初期の人気作品としては、吉岡平の「宇宙一の無責任男」シリーズが挙げられよう。60年代の邦画黄金時代に創られた植木等の「無責任男」シリーズのノリで、田中芳樹の「銀河英雄伝説」的なスペースオペラをやってしまうという、愉快な作品であった。現在は、賀東招二の「フルメタルパニック!」や、豪屋大介の「A君(17)の戦争」「デビル17」シリーズなどの人気が高い。

 そして、このレーベルの最大の話題といえば、神坂一の登場である。90年に、「スレイヤーズ!」で、第1回富士見ファンタジア長編小説大賞に準入選した神坂は、同作をシリーズ化。破天荒ヒロインの奔放な一人称で語られる異世界冒険譚は、痛快なノリと斬新な面白さに満ちており、たちまち大人気作へと成長した。しかも、この作品が以後のライトノベル作家へ与えた衝撃は計り知れず、「スレイヤーズ!」以前・以後とでもいいたくなるほど、ライトノベルの流れを変えたのだ。当然、神坂作品の影響を受けた作家が何人も出現したが、単なるまねっ子はすぐに消えた。影響を受けながらもそこに独自のプラスαを加えた作家が残ったのである。

 同賞からはその他に、小林めぐみ冴木忍五代ゆう秋田禎信麻生俊平榊一郎星野亮貴子潤一郎と、そうそうたる顔ぶれが受賞している。興味深いのは、第6回大賞を受賞した、滝川羊の「風の白猿神」だ。未完でありながら、あまりの面白さから続編執筆を前提に受賞が決定。しかし現在に至るまで、続編が刊行されていないという、いわくつきの作品である。

全くだ。今度はそれについて書いて下さい。